さて、地下ツアーの予約時間が近づいて来たのでまた現地へ向かいます(ドゥオモ広場から5分かからないぐらい)。
このツアーの出発地点であるOspedale del Ceppo(チェッポ病院)。13世紀に建設され、セラミック釉薬で装飾されたファサードを持つ趣ある建物です。
時間になると続々と人が集まってきて、どうやってこんな大人数で一度にツアーができるのかしら?マイクでも使うのかしら、と心配していたら、ガイドさんが二人いて2つのグループに分けて少しずらして周るようになっていました。
まずは病院の中に入って行くのですが、中はちゃんと整備されていて、裏にも病棟が続きかなりの大病院。かと思いきや、ガイドさん曰く使われていたのは3年前までで、今は別の場所に移ってしまい、今は使われていないのだとか。
そう思って見てみると、裏の渡り廊下だとか病棟とか外に付けられている金属の配管とかが既に傷んで水漏れとかしているし寂れ感があって、ちょっとこれは夜に来ると(来ないけど)怖いかも・・・(;'∀')。
というかここまで設備がそろっている病院がそっくりそのまま残っているってなんかもったいないですね。テレビドラマの撮影とかに使うのはどうかなぁ←そっち?
まずはそんな裏庭の中にある一つの小さい建物に案内されました。
16世紀にこの病院は医学校としての役割も果たしていてその時に使われていた小さい小さい解剖室。
入り口を入ってすぐのスペースは解剖の準備室で飾りも何もない作り。奥の部屋は解剖室で、パステルグリーンのかわいい天井と両脇の小さい階段状の見学席、そして中央に解剖する石の台、二人の重要な医師のポートレートのパネルが見られます。
ここまでは地上(笑)。
この後いよいよ病院の建物の中の入り口から地下に入ります。
昔川になっていた所をこうやって歩きます。
昔この病院はこの地方でも最も設備が整っていて、病室はシングルベッドであったり、女性用の病棟があったりした(この二つは当時は画期的だった)というようなパネルとガイドさんの説明があり。
で、この人↓はなぜこんな所にいるのかと言うと(笑)、ピストイアはサンチアゴの聖地巡礼のコースになっていたそうで、この人はその巡礼者の格好なのだそうです。この帯に挟んであるホタテ貝の殻が目印なんですって。病院とは関係なかった(笑)。ともかくピストイアは巡礼者にオープンだった町だったようです。
下のセラミックの容器やお皿は病院で使用していたもの。
これらの破片が地下にたくさん見られるそうです。これは中世の時代に病院が上の穴から下の川に直接ポイポイと捨てていたからなんですって。衛生的な理由で(笑)。
病院内で、特に重い伝染病を患っていた患者が使用したお皿を再利用して他の患者に移ると困るので、水に流しちゃえ!と流したものの、その川(正確には用水路)が町に流れ、その水は人々が利用し・・・というわけで、病気は病院の外に蔓延することになったそう。
聞いていた人たちから「そりゃそうだ!」と笑う声が(笑)。
ピストイアはかの有名な黒死病が蔓延した時も大打撃を受けた所なのだそうです。
それから病院の経営者争いのごたごたがあった挙句、最終的にフィレンツェ人の手に渡ってしまったという病院。ピストイア人、がっかり!
ちなみに、朝参加したツアーでもそうだったんですが、ガイドさんのエピソードの中にピストイアの「イケてない」話しが出てくると、フィレンツェの人が「これだからピストイア人は・・・」というコメントが出て、フィレンツェの悪い話が出てくると、ピストイアやピサなどの人が「フィレンツェ人はよぅ」というコメントが出て、とっても楽しかったです(笑)。
さて、病気を運ぶ以外に(笑)この水路が使われていた例三つ。
一つはオリーブオイルの抽出。横向きの水車になっています。
そして水を脇でせき止めて洗い場にしていた所。
ええと、ガイドさんもおっしゃっていましたがもちろん病院の排水が流れていました。みんなで悲鳴(笑)。
それからこちらの水車は鉄職人が使っていたもの。
最後は水かさが増した時に町の外に水を逃がす分かれ道になっている所で地下通路はおしまい。
少し戻ったところに外への出口があり、地上へ出ます。
病院の入り口から東側にワンブロック離れた地点で地上に出ます。ちょうど通路の上にあったガラスの明り取りのところが駐車場の一画で見られるのを確認してから病院まで戻ってツアーは終了。
これで一人9ユーロが高いか安いかは意見の分かれるところですが、なかなか面白かったです。イタリア語のツアーしかなさそうだったのですが、英語も希望すればあるのかしら。
さて、1時間ほどのツアーだったので終わったのは午後5時過ぎ。そろそろ帰り支度をしたほうがよさそうです。
今まで通らなかった道をぶらぶらと歩いて教会の写真を撮ったりしながら車へ戻り、これにてピストイア散歩終了。
ちょっと偏った(?)お散歩でしたけど楽しかったです。
あんなにいいお天気だったのに帰り道には雨に遭い、いい時に帰ってきたとほっとしました。